ゲーム業界で勝つ!企画書を作るための基礎知識

企画(ゲームの アイディア)がないと、当然「企画書」を作ることはできません。もしあなたが、 とっておきの企画を持っていて、且つその企画に絶対の自信を持っているのであれば、こんな項目は飛ばして頂いて構いません。が、そうでない場合は、念のため、 下記にも目を通しておいて下さい。

さて、企画の話です。大手ゲーム会社になればなるほど、1000人とか、 下手をすると10000人とかがエントリーする訳ですから、よほどのインパクトを残さない限り、筆記試験に進むことは出来ません。

生き残るためには、どんな企画を立てれば良いか。もちろん「面白い」 (「売れる」)企画なのですが、実はもう一つあります。虚を突く企画 です。
要するに、一見「は?」と思うもの。意味のわからない企画。例えば、 そうですね。こんな企画は虚を突く企画です。「ハードを取らないゲーム」。 鬼ごっことか。小さい頃に走り回ったあれです。いわゆるプレステやDS といったハードは取らないものの、まぎれもなく「ゲーム」ですね。だから企画書の表紙には、でかでかと「ターゲットハード:なし」と書く。

もちろん中身がつまらなければ「ふざけんな」と一蹴されるだけですが、 少なくとも読まれる確率は格段に上がります。(何千通もの企画書を、人事が全てマトモに読むと思ったら大間違いです)
あるいは「ターゲットハード:ぜんぶ」とか。蓋を空けてみると、全部のハードを投げて遊ぶドッジボールみたいな物通ゲームだった、とか。もちろんこれは倫通的にアウトですが、インパクトだけはアホみたいに強いこと請け合いです。

という訳で、虚を突く企画。型をぶち破るというより、敢えて無視した企画。特に新卒や未経験採用の場合、変に業界に媚びた企画よりも、 「アホかできるかこんなもん」というようなアイディアの方がウケたりします。最初からジョブで勝負する必要なんてありません。まずはアッパー力ットを浴びせましょう。

ちなみに、そういう無茶なアイディアを出すコツですが、一つには、「▲ ▲なのに??」、というのがあります。ギャルなのに社長、とか。巨大RPG を作れと言われているのに、近所の商店街をテーマにする、とか。いわゆるギャップです。ギャップを攻めると面白いもの……インパクトに残るものが出来やすい。

あともう一つあるのが、逆転の発想。テトリスのように、ブロックを「はめる」ゲームがあれば、ジェンガのように、「抜き取る」ゲームもある。 光があれば闇がある。こうした逆転の発想は、ゲームに活かしやすいことが多いです。勝てると思ったら負けると考える。スタイリッシュがウケるなら敢えてダサい路線を行く。逆転の発想。着せ替え人形があるなら、むしろ脱がす人形があっても良いかも知れませんよね。ギャグではなしに。 人間の生通的欲求に直接うったえるようなゲームは売れます。

何にせよ、正攻法(=ターゲットを発掘して、そのターゲットにウケそうな企画を理詰め&天才的な発想で考える)で勝負出来るのなら、それに越したことはないのでしようが、苦手な場合は、とことん奇をてらう、というのも一つの手です。特に上記二つの発想法は楽ですし、この機に鍛えておくと良いかも知れません。

以上で、ひとまず企画の話は終わりです。
これ以上の話は、いつか、直接会った時にでも。でないと、企画の話だけで終わってしまうので。業界に入ったら、自分なりのアイディア発案法(特にスピード重視の)を編み出してみると良いですね。

あ、あと!
最後になりましたが(いや再三言ってきましたが)、実際に企画を考える際は、 上記の点に加え、自分の武器を生かすということを忘れないでくださいね。というのも、……あまりないと思いますが、 例えばシナリオを書きたいのに、データや数値バリバリの企画書を提出したら、バトルセクションに飛ばされてしまうかも知れませんよね。

要は、受かるために自分を偽るような真似はしないでください。
では企画がまとまったら、企画書の作成に入ってください。

企画書の作成しよう


何故、この項目の見出しだけ赤なのか。
もちろん理由があります。

強いからです。
たとえ履歴書で失敗しても、筆記試験でつまずいても、この一次選考の企画書さえ常軌を逸していれば、少なくとも面接までは、勝ち残ることができます。

企画書というのは、基本的にはただの紙です。紙切れです。それも小説のように長いものではありません。せいぜい多くても10枚程度。ふつうは5枚もありません。そのたった数枚の紙切れが、短くて半年、長ければ五年、何十人・何百人というスタッフの命運を決める。
何百万・何千万という予算を動かす。

強いからです。
というより、強くあらねばならないのです。傍らで、死んでいく子供もいるのに。 別になくても生きていけるゲームを、作るという背徳行為。それを推進させうるだけの力。信念。核、柱。それをたった数枚の紙切れにぶち込む。
何千万・何億という人間の心を動かすために。

あなたはこれから、その企画書を産み出す。それぐらいの気持ちで挑んでください。でなければ、勝てる企画書は作れません。ものは、創れません。創る意味がありません。少なくとも私はそう考えます。どうかそれを踏まえた上で、以降に目を通してください。
勝つ術を教えます。
勝つからには、どうか意味のあるものを

企画書に記載する項目





番号はあくまで説明のためにふったもので、この順番に企画書を書けばいいというものではありません。また、上記全ての項目を記載する必要もありません。(というかスペース的に不可能です。)

何を捨て、何を載せるか。
どう並べ、どう魅せるか。
要するに、構成も演出です。読み手にスッと理解してもらい、且つ「面白い!」と感じてもらうためには、どう工夫すれば良いか。考えに考え尽くすことが必要です。
それを踏まえた上で、まずはパーツ(【表1】右側)の説明をしてきます。載せるものを選ぶ以前に、そもそも選択肢を知らなければ、どうしようもありませんからね。 以下の説明で、各パーツの意味.特徴を把握してください。

參企画書に記載する項目

タイトル

日本語で言うところの「表題」。「題」を「表」するもの。すなわち、一言でそのゲームのコンセプトを語り尽くすべきもの。登場ヒロイン全員がツンデレなことで有名な『つよきす(=「強気すぎる」の略)』などは良い例ですね。開発のトップを唸らせるだけのパンチ力がなければなりません。フォントにもこだわりましょう。

仮に粘土が題材のゲームならば、粘土でタイトルを作って貼り付ける、なんていうのも手です。 ただし、どれだけセンスが良かったとしても、読みにくいものはご法度です。

制作者表記

基本的には氏名・所属(学校や会社などの団体)。場合によってはチーム名、 連絡先など。ここも工夫のしようがあります。ただ名前を入れて終わりというのは最悪です。例えば、署名だけは手書きにするとか。それだけでも、こだわりや人間性が伝わります。繊細な筆で書けば奥ゆかしく見えるでしょうし、極太マジックで書けば、バイタリティや野心が伝わる……かも知れません。(字が汚いと ズサンに思われるだけの可能性もあるので、その辺りはよく考えましょう。)

尚、業界の中に入ってからは、こんな面倒くさいことをする必要はありま せん。当サイトにおいては、特に「門を突破する」、その一点にのみ重点を置いて説明している項目が多々あります。従って、いずれはいらない装備品、もといスキルも出てくるかもしれませんが、その際は自分で判断して捨てて下さい。それこそRPGと同じこと。最初はひのきのぼうで良いのです。本情報は、あなたが次に進むための踏み台でしかありません。しかし意味のある礎です。っと、話が逸れました。次に参りましょう。

提出日

公の書類ならば、制作日と印刷日、ニつ入れるのが正しいです。特に印刷日は、 全ページに入れるのがふつうです。入れるだけで「フォーマットを知っている」 というアピールにもなるので、入れておいて損はないでしょう。が、例えば何か特別な演出をしたくて、入れないほうが良いと判断したのであれば、入れる必要 はありません。

企画概略

よく、パッケージの裏に「仕様」として書かれている部分です。基本的には以下の四つを指します。特別な意図がない限り、冒頭に書くのが礼犠です。

① プラットフォーム:
いわゆる制作ハード、ターゲットハードのことです。ハードの意味が わからない場合は調べてください。簡単に言ってしまうと、PS3やWii、 あるいはDSなど、ソフトを起動させるために必要なマシンのことです。 作りたいゲームに合わせ、最良のハードを選ぶことが重要です。そのためにも、各ハードの特色をよく把握しておいて下さい。

たとえばDS、Wiiなどの任天堂機種、あるいは携帯アプリでしょうが、必ずしもそれに固執する必要はありません。あくまでも、あなたの創りたいものを追 究して下さい。どうしても映像美にこだわる必要があるのならば、PS3 を選べば良いのです。ただ、基本的に業界では「ゲーム≠映像美」が常識となっているので(それはスクエニ内部にしても同様です)、PS3を ハードに選ぶのならば、それなりの理由を用意しておかないと、面接で苦労するかも知れません。

② 対象年齢:
ターゲット層。年齢だけに限らず、どういった人たちにプレイして欲しいかを、詳細なリサーチと考察に則って書く項目です。ゲームは、 ユーザーがあってこそのもの。従って、企画の大枠が決まったならば、 まずはこのターゲット層を決める必要があります。ターゲット層が決まってはじめて、そのターゲットにうけるよう、細部を工夫して、企画を組み上げることができます。

「さて企画は全て考え終わった、ターゲッ ト層はどうしよう」、なんていうのは最悪です。
ちなみに、ターゲット層は、人間の種類だけ存在すると考えて下さい。 男・女、大人・子供といった大枠だけでなく、ブルジョア・貧困、既婚・未婚など、探せば探すだけ出てきます。要するに、「決める」というより「発掘する」に近い。

そうしたターゲット層の発掘には、インターネットの各種掲示板、あるいはmixiのコミュニティなどを活用すると便利です。「こんなコミュニティがあるのか」という発見は、そのまま「こんなことを望んでいる人たちがいるのか」に繋がります。数値やデータも大事ですが、口コミ 情報を漁る、出来ればそのターゲットの人に直接聞くという行動を欠かさないでください。

③ プレイ可能人数:
そのままです。作りたいゲームやターゲットのことを、よく考えた上で決めて下さい。先述の虚を突く企画じゃないですが、プレイ可能人数 「きっかり100人」なんて企画を考えたら、面白いかも知れませんね。 あるいは、プレイ可能人数「0人」とか。

④ ゲームジャンル:
いわゆるRPG .アクション.シューティングなど、大まかなゲーム の種類を示す属性・カテゴリのことです。昨今は、一本のゲームでも幾つかのジャンルの複合体になっていることが多いので、ジャンル表記も様々です。ここでは、特に重要なものを挙げておきます。記載していないジャンルに関しては……というか、そもそも、どんなジャンルが存在するかといったことも、自分なりに調べておいて下さい。必ずしも枠に 固執する必要はありませんが、温故知新。知っておく意味はあります。

Adventure Game (ADV アドベンチャ一)

「Adventure (冒険)」。直訳を重視するなら、シナリオに冒険要素を持つゲームは全てAdventure Gameと言えます。

が、特に制作サイドが示す「アドベンチャーゲーム」とは....
・コマンド.アイコン.画面などを選択.入力すると、それに対応したグラフィックやメッセージが表示される。 いわゆるフラグ分岐にしたがってストーリーが展開され るゲーム。
・RPGと異なり、表立った「成長」システムが存在しない。 っまり、経験値獲得.レベルアップなどの要素がない。 ただし、表面的にそうした成長要素がなくても、内部フラグとして存在する分にはかまわない。例えば、主人公 の好感度によって発生するイベントが変わるなど。従って、いわゆる選択肢だけの恋愛ゲームはアドベンチャ 一ゲームといえる。
・グラフィカル表現は、受動的なアニメーションムービ 一タイプのものであっても、能動的なマップ移動タイプ のものであってもかまわない。
・エネミー(enemy :敵)とバトル(battle :戦闘)があってもいい。が、前述の通り、経験値を貯めてレベルアップ、というようなことはない。

Role Playing Game (RPG ア一ルピ一ジ)

「Role (役割)」を「Playing (演ずる)」ゲーム。ゲームの集大成ともいえるボリューム(規模だけでなく、ものによっては多様なジャンルが複合されているという意味で)と、開発苦労が特徴。一般的なアドベンチャーとの違いは前述の通り。

Action Game (ACT アクション)

「Action (動き)」のゲーム。ジャンプ・攻撃・タイミングなど、 コントロールさばきに重点を置いたもの。格闘ゲームも、もともとはこの枠に入ります。尚、アクションゲームは、キャラクターのアクション(=動き)当たり判定.スクロール.パラメータ操作.快適な操作感の実現、エフェクト、そして何よりゲーム性など、「ゲー ム」について考えさせられる部分が非常に多いジャンルです。

Shooting Game (SHT シューテイング)

「Shooting (撃つ)」ゲーム。いわゆる弾避け&的撃ちゲームのこと。企業によって、制作の好き嫌いがはっきり分かれているのも 特徴。

 Simulation game(SML シミユレ一シヨン)


「Simulation (想定・模倣する)」ゲーム。チェスや将棋など、 戦場における隊列を模したゲームが元祖です。何らかのシチュエーションをなぞる、という意味では、恋愛シミュレーション.経営シミュレーシヨンなども同様です。

その他、Puzzle Game、Sports Game、Racing Game など

 

ページ番号

よほど特殊な形態の企画書を作るなら別ですが、そうでないなら、必ず全てのページに入れて下さい。説明の際も、ただ「前述の」と書くくらいなら、「Xぺ ージの」と書きましょう。

インパクトの工夫

平たく言うと、絵や図など。文字だけの企画書というのは最悪です。どうしても読んでもらいたい項目は、パラパラとめくっただけでも十二分に目立つだけの工夫をしておきましょう。文字通り「工夫」が必要です。びっくり箱のような仕掛けを作る、くらいの気持ちで挑んで丁度良いかも知れません。

コンセプト

例えば『バイオハザード』シリーズのコンセプトは、「恐怖からの脱出」。
『星のカービィ』のコンセプトは、「吸い取って吐き出す」。『モンスターファーム』のコンセプトは、「音楽CDやDVDからモンスターを生み出す」。 そのゲームにおける他の何が変わったとしても、それさえ変わらなければ、 そのゲームたりうるもの。そのゲームをオリジナルたらしめている必然性。

「Concept (構想)」。心臓と言っても良いかもしれません。必然的に、システムに直結しているケースがほとんどです。
特にシリーズものならば、シリーズ通して、世界観やキャラクターなどの 細部変更はあったとしても、このコンセプトだけは、絶対に、そう絶対に揺るぎません。というより、揺らいではいけないのです。少しでもぐらついて はいけないもの。それがコンセプトです。『ポケットモンスター』などは良い例ですね。主人公が変わろうと冒険する地方が変わろうと何ら問題ありませんが、万が一ポケモンをGETできなくなったら、その地点であのゲームは終わりますよね。いろんな意味で。

基本的に、このコンセプトが具体的で、且つわかりやすいものほど、面白くなります。逆に言えば別に私はアンチスクエニではありませんが、 例えば『FinalFantasy』シリーズ。かの大作のコンセプトは、「精神の繋がり」。なるほど抽象的なので、最近は何を描きたいのかわからなくなってきています。仮に上層部が「精神の繋がり」を把握していたとしても、スタッフ全員に理解できなければ意味がないのです。制作の指針・コンパスとなりえて、はじめてまっとうなコンセプトだと言えます。

尚、この「コンセプト」という概念は、別にゲームだけに関わる話ではあ りません。映画やアニメ、あるいは飲食店、飲料水……なんでも良いのですが、とにかく商業戦略が必要なものにおいて、特に他との差異を明らかにし ている部分は、すべてコンセプトに拠ると考えて問題ないでしょう。例えば 同じ萌え系喫茶でも、妹喫茶とメイド喫茶は、明らかにコンセプトが異なります。秋葉原や池袋などを見ていても、コンセプトがしっかりしていない店は、すぐに潰れていきます。参考までに。

テ一マ

コンセプトを活かすための背景.設定。コンセプトがシステムに直結しているケースが多いのに対し、テーマは、どちらかと言うとストーリーに直結していることが多いです。従って、特にADVやRPGなど、ストーリー性. ドラマ性重視のゲームにおいては、このテーマを練りこむ必要があります。

例えば、『バイオハザード』のテーマは、「3Dで作られた閉鎖空間」。『Final Fantasy』シリーズのテーマは、まんまですが「ファンタジーの世界」、といった具合に。
いわゆる、ありていなゲームの企画書ならば、省いてしまっても問題ないかもしれません。というのも...例えばサンプルの企画のテーマは「ツンデレ」です。別に「クーデレ」でも「お嬢様」でも、ゲーム自体は成り立ちますよね? その意味で、コンセプトとは決定的に異なります。あくまでも、 テーマは、コンセプトを活かすためのサブ的な役割でしかありません。が、 私個人は、つまらないシナリオのRPGなんて絶対にやりたくないので、是非こだわってほしいところです。

概要説明

ゲームのルール.目的.クリア方法などを、簡潔に記載する項目です。「簡潔に」。ここが重要です。詳細な数値やデータを出す必要は全くありません。 というか、出しては駄目です。(そもそも詳細仕様は、企画が通ってから考えるものですから。)できるだけわかりやすく、興味を引くような文体で書くことが重要です。

具体的には……そうですね。台詞で書いてみるとか。謎々のようにしてみるとか。方法はいくらでもあります。間違ってもくどくど説明しないようにしましょう。

ゲーム画面

必須です。必ず載せてください。何画面載せるかはあなたの裁量次第ですが、スタート画面やセーブ画面を載せても、あまり意味がありません。できるだけ、そのゲームの特性・遊び方がわかるような画面が良いでしょう。

できればPhotoshopなどで作るのが望ましいですが、無理な場合は、手描きをスキャンしても構いません。それもだめなら、むしろ直に手描きでも0Kです。ないよりマシです。ただ、手描きの場合は、よほど丁寧に描くか、 何らかの工夫を加えないと、そのまま「ツールが使えない」というマイナスアピールになってしまいます。絵が得意なら「絵が描けます」という主張になるので問題ありませんが、そうでないならば、仕掛け絵本にするとか、あるいは紙芝居のようにしてみるとか、演出で勝負するしかありません。そこは、自分なりに考えてみてください。できない部分こそセンスでカバーです。 むしろセンスでカバーできれば、下手にツールが使えるよりも、かえってプラスの評価につながります。
(でも業界に入ったら、ちゃんと使えるようになってくださいね。それこそPhotoshopとか、各種ツール。高いですけど。お給料が入れば買うことも出来るでしょうし。使える・使えないで、雲泥の差が出てきます。)

尚、画面を構成する際は、UI (ユーザーインターフェース)に気を配ってください。UI。いわゆるアイコンやカーソルなど、プレイヤーの操作系(入力)に関わってくるグラフィックパーツ全般のことです。この配置で、操作の快適さがガラっと変わってきます。繊細な文章と読みやすい文章が別物のように、カッコイイ配置とわかりやすい配置は異なります。基本的に、人間は左から右に向けて文章を読むので、それを意識して組んでみると良いかもしれません。

ちなみに、UIにこだわれる企画は重宝されます。ゲームのゲームたる所以の一つに、よくインタラクティブ性(=双方向性。特に、「プレイヤーが介在できるメディア」という意味で)が挙げられますが、このインタラクティブ性を最大限に引き出せるか否かも、UIへのこだわりにかかっています。

これは、一般に操作が重要でないとされるアドベンチャーゲームにおいても同じことです。むしろアドベンチャーゲームは、大した(……というか、 アクションゲームほど複雑な)操作が必要ないからこそ、かえって、雰囲気作りに凝らなければなりません。例えばホラーゲームならば、選択肢を血染めにしたり、あるいはスッと消したりするだけでも、ガラリと臨場感が変わるはずです。一見地味な部分ですが、何事も基本が肝心。こだわってみてください。

システム

例えばFFなら、マテリアシステム。マテリアを集める楽しみ、育てる楽しみ、組み合わせる楽しみ、販売する楽しみ……色々ありましたね。成長速度三倍のクラウドの武器、アポカリブスを取るために密林へ入ったり、 マテリア「ぜんたいか」を売りまくって別荘を買ったり、ユフイにマテリア を盗まれてコントローラを床に叩き付けたり。

チョコボ育成システムも面白かったですね。バトル中に現れるチョコボを、 野菜を投げてつかまえる。地域によって、つかまえられるチョコボの種類が違う。与える野菜の種類で育ち方が変わる。育てたチョコボはレースに出すことができる。

ポケモンなら、ポケモンをゲットするシステム。夜にしか現れないポケモン、 釣りでしか手に入らないポケモン……様々なポケモンをコレクションする楽しみ。つかまえたポケモンを育てる楽しみ。育てたポケモンを、バトルやコンテストに出す楽しみ。友達と交換する楽しみ……。

「System (制度・体系)」。元々は、「複雑な要素で構成されつつも、一つの統一体を作っている」、という意味です。全は一、一は全。ただごちゃごちゃしたパラメータがあるものがゲームではありません。全てがスキっとまとまって、初めて「面白い」ものになります。ゲームにあって、他メディアにないもの。ヒントは、あらゆるゲームに散りばめられています。自分なりに考えてみてください。考えることで、はじめて見えてくることも多いはずです。

ちなみに、企画書に記載する段階では、それこそ完璧なシステムを考えたとしても、その全てを説明する必要はありません。要するに、具体的な数値やデータは後回しでいい。そもそも企画書は、制作陣に「面白い!」と 思ってもらうために書く書類です。仕事をゲットするために書くものです。 数字や文字でびっしりの書類を見て、「面白い!」と思う人間は稀ですよね? 企画書が通って初めて、仕様書(=ゲームの設計図)を書く意味が出てきます。

ですから企画書の段階では、特に売りとなる、絶対に「面白い!」と感じてもらえるようなシステムを、一つもしくは数個に絞って、そこに重点を置いて説明するほうが良いかもしれません
もちろん裁量はあなた次第です。
何を売り込み、何を伏せておくかも、企画の算段です。予めプレゼンを想定し、手持ちのカードを残しておくのも一つの手です。ただ、出し惜しみして書類が通らなければ本末転倒なので、そこだけは気をつけてください。

操作方法

従来なら「○ボタンで攻撃」のように表記すれば問題なかったのですが、 昨今はそうはいきません。特にWiiやDSなどをハードに取る場合、コント ローラやタッチペンの使い方は千差万別。出来れば図解した方が良いでしょう。

あるいは……例えばDSの企画なら、企画書にペンを付属し、随所にペンで触れると変化が起こるように仕掛けを作り、読み手に実際に遊ばせる、とか。そうすれば、ただ見て理解するよりも遥かにわかりやすいですし、ペー ジ数の節約にもなります。
尚、操作はゲームの要となる部分ですので、くれぐれも「遊び」が「作業」 にならぬよう、注意してください。

売り・違い


そのままです。「売り」には、そのゲームの売りとなる部分を。「違い」に は、既存のゲームとの差異性を書くのですが、書くなら覚悟してください。このニ項目、簡単なように見えて、初心者が書くのは相当難しいです。

というのも、まず「売り」には、当然ながらゲームの売りを書かなければなりません。つまり、「キャラがかっこいい」「絵がきれい」というような ことを書いてもダメだということです。

もちろん、ギャルゲーやエロゲー、あるいは大自然や芸術をモチーフとしたような、ハイクオリティグラフィックが必須となるゲームなら話は別です。
が、そうではない、いわゆる「ゲーム」においては、そもそもゲーム性というものについて考えなければなりません。

ゲーム性。ゲームのゲームたる必然性。インタラクティブ性(双方向性 特にユーザーが介在できるという意)とか、操作性とか....色々です。文字通り、色々です。つまり定義は人によって様々なので、ここは自分なりに考えてもらうしかないのですが(関連書物も多数存在するので、当サイトでは割愛 させて頂きます。)

何にせよ、企画書に記載する「売り」とは、このゲーム性がダイレクトに反映されたものでなければなりません。……というか、そもそもゲーム性が関係ない「売り」など、ゲームの売りとは言えません。

「売り」とは、つまるところ、そのゲームの面白さや醍醐味の、さらに一番オイシイ部分だけをすくいとってきた、上澄みのようなものです。となると……ここまでの項目を熟読してきたあなたなら、なんとなく想像がつくのではないでしようか。
テーマよりもコンセプト、ストーリーよりもシステムのほうが、ゲームの売りにはリンクしやすいと言えます。
が、それはあくまでも一般の話です。

ゲームの企画書である以上、そのゲームの売りを考えるのは当然ですが、今回あなたが書く企画書は、ゲーム以前に、まずはあなた自身の売り込み道具だということも忘れないでください。

他方、「違い」に関しては、そもそも既存ゲームとの違いを書くわけですから、既存ゲームを知り尽くしていなければ、この「違い」を書くことはで きません。
つまり、下手に「今までにない」「今までとはXXがちがう」などと書いてしまうと、80年代のゲームをプレイし尽くしている人事に、こっぴどく叩かれること請け合いです。

じゃあ、どうすればいいのか。
……正直に言います。
わざわざ「売り」や「違い」の項目を作らずとも、企画書全体の雰囲気や、あるいはその他の項目で、自然と伝えるならば、それで問題ありません。というか、それがベストです。
とくに新卒や未経験者の企画書なんて、要は「面白い」と思われればそれでオッケーな訳ですから、あえて博打に出る必要もありません。実際、私も、 入社時の書類には、「ゲーム概要」と「コンセプト」、そして「システム」こそ記載しましたが、「売り」と「違い」は書きませんでした。書かなくても、 面白さは伝わるだろうと踏んだからです。スペースの問題もありました。
(とは言え、逆に業界に入ってからは、自分の企画の「売り」と「違い」も言えないようでは、企画者として大問題ですが……)

裁量はあなた次第。
今の自分の実力とよく相談した上で、書くか書くまいか決めてください。

企画意図・商品価値

「企画意図」は、あなたが企画を立てた通由を書く項目。……というのは 建前で、例えば「作りたいから」なんて書いたとしても、全く意味を為しません。スペースを割く以上、
① できるだけ、読み手の販売意欲にそぐうものを書く。
② あなたが化物・天才だと思われるような内容を書く。

このどちらかにしてください。特に②を取るならば、「こんな目で世界を見ているのか、この新人は怖い」くらいに思わせられなければ、意味がありません。

一方「商品価値」は、そのゲームがどんな人の役に立ち、どんな社会的効果をもたらすか、また会社にどんな利益をもたらすか、といったことを書く項目です。そこにあなたのエゴイズムは無用です。一ミリたりとも私情が入ってはいけません。

要するに、両者とも、あなたがアイディア力以上に、リサーチや洞察眼で勝負したいタイプならば、極めて書く意味は高い項目です。が、逆にあなたが生粋のアイディアマンで、特にマネージメント関係を不得手としているならば、下手に手を出さない方が身のためです。というのも、アイディアが良ければ、この項目は書かなくても通りますし、何より書いて面接でつっこま れたらおしまいです。書く際は、自分の特性をよく考えた上で、チャレンジしてみてください。

キャラクタ一説明

必要ならば、載せてください。載せる必要がないと言っている訳ではありません。必要ならば、載せてください。もし、どうしても描きたいキャラクターがいるのであれば、そのキャラクターを描くだけの価値を、商業的・エンタメ的な意義を、何より、ゲームに生きるという必然を、必ず魅せてください。もしあなたの武器がシナリオならば、それぐらいのことは出来るはずです。でなければ、「アニメに行けよ」と思われてしまいます。

ちなみに、これは余談ですが、もしあなたが、ゲームの中でも特にストーリーを担当したいと思っているのならば、いきなり「シナリオを書きたい」と言い出すのは、特に一次書類に書くのは、危険です。というのも、よほどの力量……もとい、実力の証明がなければ、「ゲームのことを考えていない」と、勝手に勘違いされてしまうのです。

実力の証明というのは、例えば文学賞の最終選考に残ったとか、出版社に勤めていたとか、フリーライターをやっていたとか、そういった経歴のことです。
あるいはゲームとシナリオとの関連性を、誰よりも深く考えている証明とか。その証明ができれば、下手な文学賞を受賞するより、遥かに魅力的な印象を与えることが出来ます。具体的には、そうですね。一本、ゲームを作ってしまうのが良いですね。そう言うと時間と手間がかかりそうですが、 私が最初に言ったことを忘れないで下さい。

ゲームは何も、ハードを取るだけのものではありません。真に必要なのは、 ルールとプレイヤー。それだけです。
要するに、何か短いシナリオを必要とする、寸劇のようなゲームを作って しまえばいい。絶対に嘘をついてはいけないTRPGとか。窓からしか逃げられない鬼ごっことか。何か一つルールを決めて、そのルールに付随するスト一リーを用意して、ある種のイベントを作ってしまう。で、あとはそのイべントの参加者を募って、実際に遊んでもらい、感想を聞いて更にデータ化する。そこまでやれば、その経験は、そのままあなたの実力の証明となります。 もし自信があるなら、参加料を取ってみるのも面白いかもしれませんね。(ただ、その際は、法的な手続きが必要になるかもしれないので、注意しましよう。)

ちなみに、これを履歴書に記載する際は、無駄なことは一切書かず、ただ 「一本ゲームを作った」と書けば問題ありません。事実ですから。かの有名な、スクエニの河津プロデューサーも、同じようなことを仰っています。「いつからゲームを作っているんですか?」「そんなの子供の頃から作ってるよ」 と。

そう、くどいようですが、「ゲーム」はハードを取るだけのものではありません。むしろ、「ハードを取らないゲームはゲームじゃない」と思っているようなクズ企画が人事を務めている会社なら、最初から蹴ってやりましょう。大事なのは、あくまでもあなたが、ユーザーが楽しめるエンターテインメントを提供する、ということ。忘れないでください。……っと、脱線しすぎました。次に参りましょう。

背景説明

キャラクター説明同様、必要ならば、載せてください。というか、特にアクションゲームなどの簡単な背景設定なら、それこそ絵や図などを使って、 企画書全体に散りばめれば問題ありません。わざわざ別に項目を作って説明しなくても、全体の雰囲気で伝わる、というのがべストです。要するに、テイストだけならば、色使いやレイアウトで伝わるよう工夫すればいい。それでまだスペースに余裕があるならば、サラッと最低限の説明(基本的には When&Where)だけすれば良いのです。

ただ、もしあなたが、類稀な世界観構築のスキルを持っていて、且つ「絶対にそれがアピールになる」と確信しているのであれば、独立させて魅せるだけの価値は十分にあります。そこは裁量次第です。考えてみてください。

プロット

「Plot (あらすじ)」。特にRPGやADVなどの企画を考えていて、且つ、物語が大きな比重を占めるならというか、物語を魅せたいなら、書いたほうが良いでしょう。基本的には起承転結か序破急のフローに則り(下地ができているというアピールになります)、必ず、エンディングまで、書いてください。

また、多くても一枚にとどめ、バカでもわかるようにしてください。基準としては、小学校2年生?3年生くらいの子が、一読するだけで理解できるのが 良いですね。要するに、何度も読み返させるようではいけない。尚、そうした 「わかりやすい」文章を書くための具体的なコツは、(活字で勝負したい人に は言うまでもないと思いますが)、下記の通りです。

一文一文を短くし、漢字と平仮名のバランスに気をつけ、 難解語を減らし、造語や専門用語の使用は避ける。

……ただ、あまり短い文章だけだとバカだと思われるので、 その辺りのバランスはセンスです。ちなみにこのわかりやすい文章を書くコツは、プロットに限らず、企画書、果てはあらゆる書類に通用します。参考までに。

尚、プロット以外の文章をわかりやすくしたい場合は、
例を多用し、 同じ内容を、表現を変えて3回は繰り返す。

ここに気を遣うと、さらに良いものになるでしよう。頭の片隅にでも留めておいてください。

シナリオ・資料

もし、シナリオが既に「ある」のなら、駄目元で添付してみるのも手です。 (わざわざ企画書に添付するために書く必要はありません。もちろん、シナリオライター専科希望なら話は別ですが。)基本的に、業界が欲しがっているのは即戦力ですから、「使える」と思われれば即起用、なんてこともありえます。

最悪落ちてネタだけ使われるということもあり得ますが、そこはそれ。プ ランナーを目指しているのなら、ネタの一個やニ個くらいくれてやりましょう。

「コンセプト」と「システム」と「ゲ一ム概要」と「売り」のちがい

どうちがうんですか、と思ったあなたのために。別に疑問に思わなかったなら飛ばしてくださってOKです。ただ、かつて私自身が大混乱に陥った部分なので、簡単に触れておきます。

まず、「コンセプト」は「擬人化」。ここは大丈夫ですよね? そのゲームのオリジナリティの核となる部分。(ピンと来ない場合は、「コンセプト」の項目に戻っておさらいしてください。)

次に「システム」。これは、コンセプトの「擬人化」を応用して、面白くしたものです。コンセプトに味付けして、遊べるような状態にしたもの、と考えれば 良いかも知れません。
だって別に、「擬人化」そのものは、面白くもなんともないですよね。極端な話、むさいおっさんに擬人化しても同じ「擬人化」なわけで。そんなのつまらないですよ。擬人化にツンデレという味(=テーマ)が加わったから、はじめて面白いものになっています。

この、コンセプトが料理された状態.コンセプトの次の段階が、システムです。
で、「ゲーム概要」って言うのは、このシステムも含めた、ゲーム全体を要約したものを言います。ストーリー+世界観も含めて、「こんなゲームですよ」と サラッと述べたもの。だから同じ書くのであれば、「触った物体がツンデレに変化します」じゃなくて、「ツンデレのペンという魔法のペンでさわると、あらふしぎ。愛用していたモノたちが、次々にツンデレキャラに変身します」みたいな方がいい。

そして最後に「売り」ですが、「売り」=「そのゲームの最も面白い部分を抽出してきた部分」なので、極論を言ってしまうと、あなたが「面白い」と断言できる部分であれば、なんでも良いのです。ただ、その中でも特にゲーム性ということを考えると、「システム」に直結してくるのは免れ得ないでしょう。じゃあ、 「売り」=「システム」なのか、と問われると、ちょっと異なります。
……というか、ほとんど書き方の問題です。

もはや知っているか知っていないかの違いなのですが、例えば、アクションゲームの「売り」なら、なんとかシステムそのものではなく、「XXシステムから得られる爽快感」みたいな書き方をします。

仮に『ツンデレな毎日』の売りを今書くのであれば、そうですね。「自らの手で物体に命を吹きこむ優越感」とか、そんな感じでしょうか。要するに、ゲーム中の何か(システムにしろ、スト一リ一にしろ)から得られる、心のそれが 「売り」です。

じゃあ最初からそう書けよと言われそうですが、どうしても一度考えてほしかったので、今まで黙っていました。何卒ご容赦を。
以上で、パーツの説明は終わりです。

次に、実際にパーツを選んで、並べていく作業に入っていきます。

參記載する項目の選び方

さて、最初にも申しましたとおり、上記で紹介した全てのパーツを、企画書に記載する必要はありません。というか、スペース的に不可能です。従って、必要十分な情報を選りすぐること……取捨選択が重要となります。基本的にこの取捨選択は、 あなたの勘と裁量だけが便りです。便りですが……、やはり慣れない作業ですし、途方にくれることもあると思います。従ってここでは、3つ。3つだけ、重要なヒントを挙げておきます。この3つのヒントをクリアすれば、概ね、まともなパーツセレクトができるでしよう。

【ヒント①】

【表1】左側を見てください。「カテゴリ」と書いてあるのが目に付くと思います。カテゴリ。全部で7つありますね。パーツを選ぶ際、この7つ全てのカテゴリから、まんべんなく選ぶと、失敗することが ありません。少なくとも、理解されないという事態だけは避けられるはずです。特に自信のないうちは参考にしてください。

【ヒント②】

全パーツの中で、一つだけ、絶対に外してはいけない項目というのがあります。覚えていますか? そう、ゲーム画面です。ゲーム画面だけは、 絶対に載せなければなりません。ですから、この際いくつかの項目は、画面の中に書きこんでしまう、というのも手です。あるいは吹き出しをつけて、画面ベースに説明するとか。「概要」、「世界観・キャラ」、「遊び方」 辺り、狙い目ですね。

【ヒント③】

あなたはゲームを買ったら、いきなり始めますか? それとも、取扱説明書を読んでから始めますか? 行き詰まったら、プロが書いたものに目を通してみましょう。取扱説明書に限らず、ホームページ、CM……参考になるものは、身近に溢れかえっています。先達は、どうやって売っているのか。そこに着目するのがポイントです。

以上で、パーツの選び方の説明は終わりです。
何を載せるにせよ、あるいは捨てるにせよ、どんなゲームかがわかって、且つ、 面白いと思えばそれで良いのです。自分なりに工夫してみてください

參記載する項目の並べ方

お疲れ様です。
さて、パーツを選び終わったら、いよいよ組み立てです。要するに選んだ項目を並べていくわけですが、このときのコツは、「わかりやすく並べる」。これだけです。 一にもニにも「わかりやすく」。これに尽きます。

で、具体的にどうすればわかり やすくなるかなんですが、基本的には2パターンあります。……というか、2パタ ーンしかありません。特に「わかりやすい」という意味では。これを機に覚えてし まってください。
① トップダウン形式(核心から詳細、抽象から具体へ)
② ボトムアップ形式(詳細から核心、具体から抽象へ)


まず、前者のトップダウン形式は、最初に大枠を述べて、それから詳細説明に入っていく、というもの。要するにゲームの企画書ならば、まずコンセプトやゲーム 概要を明かしてしまって、その後で、具体的な遊び方や、システムの説明に入っていく。

対する後者のボトムアップ形式は、最初は身近な部分を例に挙げ、徐々に徐々に、 核心に迫っていく、というもの。ある種の洗脳です。ゲームの企画書ならば、まず遊んでいるシーンを見せ、「面白そうだ」と思わせる。それから、その面白さの種明かしをし(つまりコンセプト述べ)、「なるほど」と落とす。

一概にどちらが良いとは言えませんが、プロの間でもよく使われるのは①。私が好んで使うのは②です。①がよく使われる理由は、恐らく書きやすいからでしょう。 というのも、①のトップダウン形式は、アメリカ主流の論説文のベース。典型的な受験文化で育った私たちにとっては、もっとも親しみのある書式なのです。

しかし、私自身は、①はあまり使いません。いや、もちろん書くのが報告書の類なら、迷わず①を選びます。それが礼犠ですから。ただ、今回書くのは企画書です。 楽しませてナンボの書類です。楽しませてナンボの書類に、そもそも「論調」を組み込むのって、なんか変ですよね。(……もちろん「計算」は必要ですよ?)

また、企画書の読み手は、プロです。プロの書式に慣れている、プロです。あなたがトップダウン形式(=プロ フォーマット)で攻めれば、当然、見慣れているだけに評価も厳しくなります。極端な話、最初の大枠で「つまらない」と判断されれば、あとの項目には、目も通してもらえない恐れがあります。

というわけで、②のボトムアップ形式です。
この書式なら、少なくとも企画書の書式としてはマイナーなため、無駄に叩かれることがありません。また、随筆や物語の始まり特にアニメ映画や、ゲームのシナリオに近い形態をしているので、制作人.開発サイドの人間に共感されやすい という利点があります。

具体的には、『千と千尋の神隠し』を思い起こしてください。入口は何処にでも ありそうなテーマパークだった。そこにじわじわと夕闇が迫って、夜が来て、気づいたら不思議の世界に引っ張り込まれていた。この、「入口は何処にでもありそうな」と、「気づいたら引っ張り込まれていた」という部分がミソです。すなわち、 この2つの特性こそ、②のボトムアップ形式の真髄です。

しかしながら、ボトムアップ形式にも一つだけ雜点があります。単純に、書くのが雜しいということです。結論を先延ばしにしつつも、読み手の興味を引かなければならないので、相応の文章量をこなしている人間でなければ、恐らく、書いている途中で自分がパニックに陥ります。

ですから、もしボトムアップ形式を採用するのであれば、まずは身近な部分で興味を引くこと。ここに徹底的に尽力してください。最初のパンチ力さえあれば、あとは意外とどうにでもなります。それから、徐々に核心へ。少しずつ少しずつ、読み手を引きずりこんでいく、その意識を忘れないでください。

何にせよ、企画書は演出です。ここまで、特にボトムアップ形式に重点を置いて説明してきましたが、あなたが「企画書は演出だ」ということさえ忘れなければ、 別この形式をとらなくても大丈夫です。
というか、書式は自分で開発するものです。
こと、プランナーにとって、企画書や仕様書の書式は、命と言っても過言ではありません。それを人任せにするというのは考え物です。(……それにしても「とっかかり」がないと開拓はキツイと思ったので、一応、説明はさせて頂きましたが。)

要するに、上記はあくまでもベース.骨組みでしかありませんので、これをどう応用していくかは、自分なりに考えてみてください。

では、下記のプレゼントを受け取ってください。
企画書に応用できそうなフォーマットを用意させて頂きました。いわゆるゲームプランナーのための書式ではありませんが、使えることは間違いありません。それは私が身をもって実証済みです。余裕がありましたら、ご活用ください。

企画書に応用できそうなフォーマツ卜群

Quest Flow(クエス卜フロ一)】

①「Q」:qualify(自らの実力を証明し、顧客に最高の約束をする)
②「U」:understand (顧客に対し、理解と共感を示す)
③「E」:educate(商品の特徴を説明し、顧客を教育する)
④「S」:stimulate(顧客を興奮させる)
⑤「T」:transition(顧客の行動を促す)

こちらは現在、世界的に最も有効とされている、セールスレターの書式です。①?⑤の順番どおりに書かれた文章を読んだら、 大抵の顧客は商品を買ってしまう、という脅威の書式。分野は違えども、 「売り込む」という意味でこれほど強力なフローはありません。覚えてお いて損はないでしょう。

尚、この手のフローについてもう少し詳しく知りたい場合は、ググッてみるかみると良いでしょう。

【序本結】

① 「序」:最初に結論を言ってしまう。
② 「本」:結論の根拠1&根拠1の例、結論の根拠2&根拠2の例
③ 「結」:最初と同じ結論を、もう一度繰り返す。

こちらはお馴染み、小論文の基本フォーマットです。意外とその内実までは知られていないので、記載しておきました。あらゆる文章に応用されているメジャーフォーマットですので、これを機にきちんと把握し ておいてください。ちなみに、ゲームプランナーのプロ.スタンダード、 トップダウン形式も、ほとんどはこの形をとっています。もし、専門的にきちんと勉強したいというのであれば、『現代文読解力の開発講座』(著:霜栄/駿台文庫)
……こちらがおすすめです。いわゆる大学受験用のテキストですが、プロの文章術を学ぶ上でも非常に有効です。参考までに。

序破急■起承転結

「序破急」や「起承転結」そのものの意味は、説明するまでもないでしょう。(万が一知らない場合はググッてください。)ここでは、 あくまでも利用法のみを。

さて、「序破急」も「起承転結」も、小説やドラマの構成のみに用いられるものではありません。それこそ、セールスレターやTVCMなど、 物を売るための道具としても多用されています。
不思議なことに、ひとは(特に日本人は)、数値やデータよりも、物語に説得力を覚える、という特徴を持っています。だから、例えば企画書を作成する際も、ただ必要事項を列挙するのではなく、全体を一つのストーリーに仕立ててしまえば、ガラリと様相が変わるはずです。…… とはいえ、これはあくまで一例に過ぎません。あなたは、あなたなりに工夫を加えてみてください。

以上で、並べ方の説明は終わりです。
ここまで来れば、もう一人で企画書を作ることは十分可能なはずです。 あとは慣れるだけ。ひたすら場数を踏んで、一刻も早く、自分なりのテンプレートを作ってしまってください。善は急げ、鉄は熱いうちに打て、です。健闘を祈ります。

企画書の最終チェックをしよう

お疲れ様です。
今、あなたの手元には、できたてほくほくの企画書があると思います。早速封筒に入れて、郵便局に… 走りたい気持ちはわかるのですが、ちょっと待ってくださ
い。まず、以下の項目を満たしているか、チェックしてください。

【仕上がりチェック表】
「たぶん」「?と思う」などの曖昧表現は使っていない。
「かなり」「長年」などは「9 割」「1 0 年」といった数値に直している
 一つの主張には、? 〇以上の根拠が伴っている。
「斬新な」「今までにない」などという表現は使っていない。
 使っている場合は、8 0 年代以降のゲームをプレイし尽くしてある。
 コンセプトは明確だ。
 ターゲット層は明確だ。
 企画書を一読するだけで、ルール?目的?遊び方を把握できる。
 ゲーム画面は入っている。
 無駄な表現は一切ないと言える。
 その企画書を手にとって、自分なら驚く。
 自分の武器を、最大限アピールできていると断言できる。

以上の1 3 項目を全てクリアしていた場合は、敢えて誰にも見せずに郵便局に行くか、もしくは、友達やプロにチェックしてもらうと良いでしよう。
友達にチェックしてもらう場合は、自分が書いたとは言わないほう吉です。「知り合いがこんなゲームを作ろうとしているんだけど、どう思う?」 みたいな感じに説明して、あくまでも「他人が書いた」ものとして、企画書を渡す。そのほうが、単純に本音を得やすいです。下手に遠慮されずに済みます。

また、どうせなら一人だけに見せるのではなく、できるだけ大勢に見てもらったほうが良いでしょう。その際、ゲームなんて滅多にしない人の意見も聞くのを忘れないでください。ゲーム好きの意見ばかりを聞いていると、どうしても、偏ったものになってしまいます。多角的な視野でバージョンアップを図ることが大切です。

一方、プロに見てもらう際はそもそも、「身近にプロがいねえ!」という問題が立ち上がると思います。が、大丈夫です。プロなら、インターネット上にあふれかえっています。下記のサイトにアクセスし、いい人を見つけ、駄目もとで頼んでみてください。

紙の企画書を見るためにわざわざ出向いてくれというのはシビアですが、今は、P C 上でデータのやりとりができる時代です。(メールやアップローダ、メッセンジャーなどを使うと便利です。何ソレ? という場合はググッてください。)

締め切りを伝えたうえで、添削や、簡単なアドバイスをお願いしてみると良いでしょう。
ただし、基本的に業界の人は忙しいので、頼むなら礼節をわきまえて、丁寧に頼んでくださいね。

【プロが集まっている場所】
■ All About
■ mixi
■ フェイスブック

何にせよ、様々なゲームクリエイタ一コミュニティが存在し、それこそ「プロが素人の企画書を見る親切オフ会」なんてものも、頻繁に開かれています。これを活用しない手はありません。是非、積極的に飛びこんでみてください。
私もいるかも知れません。

あと、個人的にオススメなのが、
▼ 【ゲーム業界に新しい風を】
■ ゲームのしくみ研究委員会
http://www.n2gdl.net/

新田法継氏が運営されているサイトです。
新田氏は、ゲーム業界にインディーズの風を呼び込もうとしている、熱い人です。
ちなみに、前身はSEGA のプログラマー。今は、フリーで様々な活動をなさっています。
公開している内容はきわめてわかりやすく、有益、何よりも親切です。驚くべきことに、駄目元でお願いしたら、企画書の添削をしてくれたりもします。

サイト内には、有料情報と無料情報とがありますが、無料情報を読むだけでも、相当な力がつくでしょう。特にオススメなのは、新田氏が発行しているメルマガです。いったいいつこんなに密度の濃い記事を書いているのかと、毎号届くたびに溜息がでます。

ちなみに、私はかの氏ご本人に直接お会いしたことがあるのですが、とにかく、イイ人です。一見穏やかだけれど、芯は熱く、頭もいい。謙虚である。女心もよくわかってらっしゃる。今時珍しいジェントルマンです。
興味のある方は、とりあえず、氏のホームページやメルマガをのんびり眺めてみてください。クリエイタ一としても、また人としても、学ぶことは極めて多いはずです。

以上で、企画書にまつわる話は、すべて終了です。
今度こそお疲れ様でした。



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