失敗や不幸、納得できないことを肯定的にとらえる方法

私たちは普段、さまざまな場面でこのようなジャッジ(決断・判断)を無意識にしています。
一見すごい真理のようですが、その固定概念には気をつけなければなりません。

なぜならば、同じ事象をとっても「見方(視点)」によってその解釈が変わってくるものもありますよね?
そのことを説明する、おもしろい理論があります。
「人は思い込みにより事実を正確に捉えていないことがある」

某証券会社のCM でも有名な、コーネル大学の心理学教授のトーマス・ギロビッチ博士の「フレーミング理論」というものです。

心の枠組み。(フレーム)

そのCM では、心理的な枠組み(フレーム)について、以下のような例で説明しています。
あるお店の主人が従業員の青年に、「このお給料の2 割を貯金しなさい。」というと、その青年は「無理です。」と答えます。
そこで主人は「このお給料の8 割で生活してみなさい。」と言い換えました。すると、なぜかその従業員は「やってみます。」と答える…というものです。

数十秒のCM なので、かなりシンプルなストーリーで、且つデフォルメされていますが、同じ事象でも、視点を変えることでまったく別の解釈になりうるということを、とても分かりやすく説明していると思います。

NLP(神経言語プログラミング)にも、同じような考え方を表す、「地図は領土ではない」(The Map is not the Territory.)という言葉があります。
つまり、


「私たちが見ているものは、あくまでも私たちの感情や感覚というフィルター(地図)を通して見て、または感じているものであり、その事象そのもの(土地そのもの)ではない。」

という意味です。

私たちが知っている(と思っている)真実も、実は私たちの持つ心の枠組みによって都合のいいように解釈されたり、またはゆがめられたりしている場合があるのです。

心の枠組みを替えてみる。(リフレーミング)

「心の枠組み」の存在を知ると、物事についてさまざまな視点から見ることができるようになります。そして、どんなに辛いことやマイナスなことであっても、その裏側には何らかの「肯定的な理由」があるということに、気づくことができるのです。

今までに起こった過去の事象や、失敗(だと思っていること)そのものを変えることはできません。
けれども、それに対する私たちの心の枠組みを替えることによって、受ける印象や解釈を変えることはできます。NLP では、それを「リフレーミングする=枠組みを替える」と言います。

例えば、ある人がバイクに乗っていて車と接触する交通事故に遭いました。
右ひざのじん帯を2 本切ってしまうようなかなり大きな事故で、彼はその治療のために2 ヵ月半の入院生活とリハビリに3 ヶ月以上かかりました。
結局、退院してからも半年近く杖をついて歩くような状態で、そのあいだ、6 時間を越すような大きな手術を3 回もしなければなりませんでした。

入院中やリハビリ中は、会社を長期間休まなければなりませんし、同僚たちがバリバリ仕事をして成績を上げているのに、自分は何もできません。
毎日のリハビリはとても辛く、平日は病院にお見舞いに来てくれる人も少なくてとても孤独でした。
これだけ聞いたら、とても深刻で、もしかしたら最悪な状況だと思われるかもしれません。どこにも「肯定的な理由」なんてなさそうな気がします。

実際、入院中は一時期自暴自棄のような状態になって、食欲もなくなり、誰とも話したくありませんでした。

同様に、もうひとつ辛い状況「離婚」について例をあげてみましょう。
ある夫婦が結婚して2 年経ったときのことです。それまでの結婚生活は、まさに順風満帆。新しい車や新築のマンションも購入し、お互い共働きながらも安定した生活を送っていました。

ちょうどそのころ、亭主の会社で人事のゴタゴタがあって、彼は日ごろから胸に抱いていた「フリーランスになる」という夢を実現させるために、会社を飛び出してしまいました。自分の腕には自信があったし、周りの人たちも応援してくれると言ってくれました。

けれども、いざフリーランスになっても、仕事はいっこうに入ってきません。
車やマンションのローン、日々の生活費などは、当然貯金を食いつぶすことになってしまい、将来のことを考えると妻も不安になってしまいます。

さらに、今から思えば会社の辞め方にも問題がありました。
彼は、前々から妻に「フリーになりたい」という“相談”をしていたつもりですが、妻にはうまく伝わっていませんでした。
いや、「フリーになりたい」という漠然とした思いは伝えても、その後の生活やビジョンについて、彼がきちんと説明していなかった…というのが正しいのかもしれません。

妻にとって、彼の退職は青天の霹靂でした。
「そんな大事なことを、私にしっかりとした相談もなく決めるなんて…。」
心の不安が少しずつ不信感へと変わり、さらに今まではお互い気にならなかった些細なことが、ケンカの火種になってしまいます。

それまでの幸せな関係が一変し、食事のときの会話もなくなり、寝るのはお互い別々の部屋、たまに話をすれば傷つけあうだけという、「家庭内別居」状態が1 年間続きました。

結局、彼はフリーランスを諦めて転職をしました。生活は安定しましたが、二人の心にできた溝を埋めることができなくて、残念ながら離婚することになってしまいました。

いかがでしょうか?「交通事故」も「離婚」の例も、かなり詳細なディテールまでお話しました。そして、もうお気づきの方もいるかもしれませんが、実は両方とも私自身の実体験です。
どちらも、普通に考えたら最悪の状況と言えるかもしれません。まさに八方ふさがりの状態で、精神的にも肉体的にもかなり追い詰められた状態です。

事実そのときは本当に辛くて、正直、気が滅入ってしまい、誰とも話をしたくありませんでした。何事に対してもまったくやる気が起きず、今考えたら軽いウツ状態だったかもしれません。
どちらも「起こった事実」を変えることはできません。けれども、その「最悪の状態」はあくまでも過去に起きたことです。そう、すでに過ぎ去ったものです。

さらに、それぞれを別の角度から見てみるとどうでしょう?
例えば「交通事故」について。
実は、この交通事故によって、私は自分の人生をゆっくりと振り返ることができました。それによって、退院してからの自分の人生を思い描く時間を持つことができ、普通のサラリーマンを辞めて手に職をつける(デザインの勉強をする)ということを真剣に考えることができたのです。

普段サラリーマンをしていると、ついつい忙しさに流されて、自分の人生を振り返ったり、また未来を思い描いたりすることはなかなか難しいものです。けれども、私は「交通事故」という不幸のおかげで、その時間を持つことができたのです。

また、「離婚」についてはどうでしょうか?
確かに、お互いの心を痛めた不幸な経験かもしれませんが、それまでの生活は幸せに満たされていて、とてもすばらしいものでした。結果として「離婚」というカタチになってしましましたが、その幸福感が心に残っているので、今でも「結婚」はすばらしいものだと思っています。

離婚に至る原因は、もともと私の無責任な行動が引き起こしたものです。ですから、それについてはどんな言い訳もできません。
しかし、その離婚という経験によって、自分自身の甘さや自信のなさを知ることができ、そしてパートナーに対する思いやりや、コミュニケーションがいかに重要かということに気づくことができました。

よく「お互いの立場に立って…」と言いますが、本当の意味でそれを実感したのです。そしてそれは、コミュニケーションや意識・無意識について、より深く学びたいという原動力になり、結果としてヒプノセラピーやNLP といったものを学ぶきっかけになったのです。

上記二つのような不幸な出来事も、「視点の枠組み」を替えることで、さまざまな肯定的な理由を発見することができます。失敗や不幸だと思っているものも、もしかしたら学びのきっかけにすぎないのかもしれません。

私はこの「リフレーミング」によって過去の不幸を肯定的に捉えなおし、そこから学びを得て今の自分に役立てることができるようになりました。
具体的には、交通事故によって人生を振り返る時間を持つことができ、離婚は心について深く学ぶきっかけを作ってくれたのです。

すべての事象には肯定的な理由がある。」
あなたにも、もしかしたら思い出したくない失敗や、辛かった過去などがあるでしょう。あまりにも辛いことであれば今すぐにとは言いません。
けれども、少し余裕が出てきたら、客観的にその事象を観察し、分析することで、なにか肯定的な理由、肯定的な意図を発見できるかもしれません。

ワーク:心の枠組みを替える。(リフレーミング)

○ あなたが今抱えている不安や不満、または過去に起こった不幸や失敗などには、どんな肯定的な理由、または肯定的な意図があるでしょうか?
あなたの周りに起こったすべての出来事には、何らかの肯定的な理由があるはずです。それはなんでしょうか?

○ また、その不幸や失敗の持つ別の意味や、そこから学んだことにフォーカスしてみると新しい発見があるかもしれません。
起こった事象は変えることができませんが、枠組みを替えて見ることで、今のあなたに役立つ「気づき」や「学び」が必ずあるはずです。それはどんなものでしょうか?

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